工業会について

日本産業用無人航空機工業会について

皆さんは、実は日本が隠れた無人航空機大国なのを御存知でしょうか。

昨今の小型マルチローター無人機(いわゆるドローン)が脚光を浴びる前から、“産業用”と冠された2,000機近い無人航空機が日本の空を飛んでおり、今後も様々な分野にその活躍の場を拡げるものと期待されています。日本産業用無人航空機工業会(JUAV)は、日本で運用される産業用無人航空機(以下UAV)の安全運航を促進し、UAV市場の健全的育成と発展に寄与することを目的として、2004年に、日本産業用無人航空機協会として発足し、2017年に、小型マルチローター機も含む無人航空機のメーカーを中心して、一般社団法人として新たなスタートを切った業界団体です。UAVの利用分野の拡大に伴い、安全性確保について社会からの要請がより高まりつつあります。日本産業用無人航空機工業会(JUAV)は、その社会的要請に応えるため、業界として我が国のUAVの統一的な安全基準づくりを目指しております。

UAVの歴史は、20年以上前に有人ヘリコプターによる水田の農薬散布を効率的に補うために我が国で開発、導入された無人ヘリコプターが始まりですが、その後、無人ヘリコプターの利便性と農業を取り巻く社会環境の変化に対応して、瞬く間にその数を増やしてきました。 また、治山緑化工事の航空実播や、松くい虫の防除など様々な用途に使われていますし、有珠山や三宅島の火山観測に活用され、運用範囲を次第に拡大してきました。

農業分野の用途については、農林水産省所管の(社)農林水産航空協会が、無人ヘリコプターを農業用途で用いる場合の運用基準を定め、操縦資格や機体の認定等を行っています。一方で、農業分野以外での用途については、何もそのルールがないのが実態でした。そのため、2002年から産業用無人ヘリコプターの開発、製造、運用に係わる4社(富士重工業株式会社、川田工業株式会社、ヤマハ発動機株式会社、ヤンマー農機株式会社)で「産業用無人ヘリコプター検討会」を発足させ、爾来、経済産業省のご指導を受けながら、業界として農業用途以外の無人航空機の運用に関わる統一的な安全基準ガイドラインの検討に取り組み、2004年になって、無人ヘリコプターの安全基準をまとめ、それ以降10年以上にわたり、2000機以上の産業用UAVの安全な運用を支えてきました。

一方、ここ数年で、センサー、モーター、バッテリの小型化、高性能化が飛躍的に進展し、小型マルチローター型の無人航空機が飛躍的に市場を拡大してきました。当初は、ホビー用の小型機が主流でしたが、昨今は、搭載量や飛行時間も拡大し、小型マルチローター機を産業用に利用するケースも急激に増加しています。

これに対応して、経済産業省、国土交通省他、関連省庁が連携した無人航空機の活用・安全管理に関する議論も活発化しており、2015年には、あらたに無人航空機を定義した改正航空法が施行されましたが、本格的な運用を実現する法整備・安全基準の設定は、今後の大きな課題です。そのため、メーカーだけではなく、ユーザーや研究、販売、運用等に関わるものが一体となって当該安全基準の運用を実効的・統一的に行うことが必要であること、また無人ヘリコプターのみならず小型マルチローター等を含む無人航空機全体の安全基準を検討していくことが必要であるとの認識から、日本産業用無人航空機協会を発展的に解消し、あらたに「日本産業用無人航空機工業会 JAPAN UAV ASSOCIATION (JUAV)」を発足することとなりました。

2017年4月には、ヤマハ発動機㈱  ヒロボー㈱を発起会社として、経済産業省、国土交通省の御来賓のもと設立発起総会を開催し、小型マルチローター機のメーカーや、無人航空機の運用、サポートに関連のある様々な業界の企業にもご参加いただき、会員数27社にて、新たなスタートを切りました。

今後は、会員相互の協力により、安全基準の普及と遵守に努めるとともに、当工業会の基準に基づき、国内の無人航空機全体の安全基準の整備に向けて活動していく予定です。

2017年6月1日
日本産業用無人航空機工業会
会長 阪口 晃敏